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石川丈山の終の住処ー京都その3

GWの前半いかがおすごしでしたか?
昨日はピーエスさんのノルディックウォークイベントに参加、久しぶりに18kmほど歩いてき
ました。
代々木八幡から出発して、都内をぐるっと表参道から麻布十番、アメリカ大使館の前を通って外堀通りに抜け、赤坂の御用邸に沿って明治神宮までもどるコース。ブランチをはさんで朝からお昼までたっぷり歩いて、充実した時間でした。(ピーエスのみなさん、ありがとうございました。)

      *     *     *

ここから「京都」のつづきです。
蓮華寺の本堂に掛かった寺額の作者で、作庭に加わった、とも言われている石川丈山が隠居の住まいとして造営したのが詩仙堂です。
現在は「丈山寺」という曹洞宗のお寺になっていますが、もともと「住宅」だったんです。訪れてみると、力がふーっと抜けてるようなくつろいだ雰囲気で、「ここはお寺ではナイ(空間が)」と知らせてくれます。訪ねたのは打合せの終わった月曜だったため見学者も少なく、時折風が通り抜けてゆく畳の上には、横になっている先客も…。

丈山は武を捨てて学問と詩に人生を定めた文人。庭と一体となるように縁が廻り、書院を繋いでいます。天井高は住宅らしく抑えられ、枯山水の方丈庭園はつつじの刈り込みと楓でいったん囲い込んで、落ち着いたスケールを守っておいて、階段をおりた2段目の庭、さらには渓水を挟んで南側に続く瓜生山の山林へと繋がる、どこまでが庭か分からないようなデザイン。四隅が丸く残った面皮柱が文人の終の棲家にピタッと嵌っておりました。
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調べてみると、丈山が凹凸窠(おうとつか)と呼ばれたこの地に過ごしたのは90歳で亡くなるまでのおよそ30年。

以下”  ”内は『艶隠者ー小説石川丈山』より引用。

”一眠りして起きだすと、新たな一日が始まる。凹凸窠の周辺の片付けをおわると、丈山は自分の好みに応じて山茶花や侘助椿、山桜に紅梅の梅、楓に棕櫚などを植えはじめた。下の庭には冬菜や芋を育てる畑。それも周りの原生林にとけこめるようにごく自然に配分しようとした。”
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椿にレンギョウ。下の庭は三段目まで続きますが、そこは後世の造営とのこと。小説にあるように、2段目は、はじめは菜園だったのかもしれませんね。獅子脅しが有名な庭。庭の手入れをしていたおばさまも「ここだけ見ておけば大丈夫!」と太鼓判を押しておられました。(写真は無し)
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”朝、白室と称した寝房を置き出で、燕居と称した居室で、門人の運んできた朝粥を食べ、猟芸巣から至楽巣と改名した書院に入って書見台に向かう。書に疲れると杖をひいて庭に入り、山林に向う。丈山の一日である。”

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正門を見る
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西日を受ける方丈庭園。
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書院から。
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当時の様子とは違っているやもしれませんが…
ちょうど春の開きかけの楓の緑もまぶしく、すばらしい庭でした。
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by o-oik | 2014-04-30 16:24 | 建築

古色は極彩色ー京都その2

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今日は風が気持ちよい日ですね。
思い出しつつ、はや一週間経過しました「京都」のつづきです。

三千院では宸殿とその庭園など拝観したのち往生極楽院へ。

「往生極楽院(ごくらくおうじょういん)」は国宝の阿弥陀三尊像が納められているお堂。
慣れた感じのお坊さんが解説してくれ、見学者を楽しませていました。
さすがは京都。観光スポットとしての受け入れ態勢がこなれていることに感じ入ります…。

さて、お堂の天井は煤で覆われ、その暗がりの中、阿弥陀如来を中心に三体の仏像が金色に浮かび上がる
・・・
まさに古色蒼然といったところですが、
黒く見える天井には極彩色で描かれた来迎図が描かれていたと
赤外線を使った調査で分かったのだとか。

復元された天井画を敷地内にある円融蔵(えんにゅうぞう)で見学することができました。

そこで目にしたお堂の内部には、
舟形天井の正面妻に、雲に乗った楽隊
天井には花びらを撒き空を舞う天女
さらにずらり並んだ菩薩様。

パッキリしたブルーの背景に、朱、緑、ピンク・・問答無用で楽しそうな色使いです。
ブルーに使われていたのはアズライトという鉱石。
見上げれば天女は花びら撒いているし、
楽隊は笛に太鼓に琵琶かき鳴らすし、
どこからか音楽が聞こえてきそう。
浄土からの迎えも悪くないという気になります。笑


昨年公開された高畑勲監督の「かぐや姫の物語」のラストの月の使いが降りて来るシーンが印象に残っているのですが、(これから見ようという方は、読み飛ばしてください。。)

あのモチーフは来迎図にあったのね…と納得がいきました。哀しいラストですが、無慈悲なまでに楽しげな音楽とともに、雲に乗ったお迎えの一団が主人公を連れて行ってしまうシーンに、来迎図のモチーフは嵌っていると感じます。

ちょっと脱線。

煤の覆いは天井画を腐食から護り、現代の私たちにとって安心して
鑑賞できるイメージを護っていたとも言えますが、
世界中にある古建築や遺跡で、顔料を特定する技術が応用されるようになったことで、
イメージが更新されてゆくのはエキサイティングなことですね。

…それにしても、この天井のもとに金色の三仏が鎮座するお堂、
当時の人からみるとそうとうに刺激的ですよね。


まだつづく。
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by o-oik | 2014-04-23 15:05 | 建築

大原でも桜ー京都その1

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先週末は京都造形のオリエンテーリングのため京都へ。
そのまま週明けにも打ち合わせを予定していたので
ぽっかり空いた一日を大原探索で過ごしました。

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三千院のしだれ桜は空間に散る紅色の濃淡が美しく技ありという感じです。

園内の苔の手入れをされていた方にどのくらいの頻度で手入れをするのか聞いたところ、
頻度というか…広い園内を一周してもどってくると、また雑草やら芽が生えているので
ずっと廻っている。とのこと。これから梅雨時期は大変だそうです。

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帰りに寄った蓮華寺のお坊さんが言っておられたことですが、庭の手入れは、毎日の掃除が基本だとか。
坊主の仕事はお経を読んだり教典の勉強をしたりということは二の次三の次で、それよりもお掃除をすることなのだと。
大原から少し戻るところにある蓮華寺は、観光客も少なく、こじんまりとありました。紅葉の青葉に囲まれたフラットな池の水面が目の前に現れる静謐な空間。奥の書院に足を踏み入れたとたん、胸のあたりにあった「ざわざわ」がすっと引くのを感じました。その作用は、建築・庭が生み出したと同時に、たゆまぬ掃除の賜物でもあったかもしれません。

その2につづく…(予定)

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by o-oik | 2014-04-17 20:54 | 風景

砧公園の桜

桜の話題はちょっと遅いのですが
葉桜も良いなあ、と今朝駅の方まで歩く道すがら思ったものですから。
その「良いなあ」はタフで健康的な魅力が良いなあと。
満開の桜の世界はどこか幻想の次元に繋がっているしたら、
葉桜の魅力は地に足着いてる、生活力ありそうな魅力。
宴会が引けても構わず人生(樹だから樹生?)は続く、と。

一週間前の写真をデスクトップに置いて時々眺めているのですが
ここでもお見せしたくなりました。
満開の桜は美しいですね。
木の下にナニか埋まっていそうな迫力がありやはり毎年見に行かずには居れないです。
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by o-oik | 2014-04-11 12:54 | 風景

キッチン・台所について2

(キッチンと台所て同じコトですね…。)
以前も同じテーマで書いたので今回はキッチン・台所の「2」としました。


キッチンはオリジナルで造りたいと考えています。理由は、

・オリジナルでキッチンをつくるとプランの自由度が上がること。
(特にコンパクトな住まいを希望する場合は、オリジナルの造作キッチンを使うとプランの自由度が大きく変わる。キッチンも使いやすく工夫できる。)

・ステンレスのフードやカウンタートップに使う素材の厚さまで指定できる。
(ちょっとしたことなんですけどね…)

・家の他の部分とのバランスを考えて、素材を合わせることができる。
(私の設計ではピカっとした仕上げはあまりないので既製品を合わせにくい事情もあり。)

といいつつも、哀しいかな、生来のバランス型人間なのでコストバランスで判断することになりますね。
例えば、リフォームの物件で、お住まいになるお施主さんがキッチンに重きを置いていない場合にはあっさり既製品を使ったりもしています…。


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洗面カウンターと共に、カラマツ材の三層パネルで造作してもらったキッチンです。
元々使っているキッチンよりもコンパクトになったのですが、「こちらの方が使いやすい」とのこと。
あれ?IH入ってるし。笑(※)
クッキングヒーターの背中側に冷蔵庫、写真正面のL字になった部分は奥行きの浅いカウンターになっていて、電子レンジや炊飯器はここに置くようになります。
流しの正面の窓からは朝日が差し込み、庭が眺められます。
(ご近所さんの庭を借景にさせてもらいました。)


「キッチン・台所について」でアツく主張したのですが…。
このように施主さんの希望は結構聞いてしまう方です。汗
このお宅の施主さんのご年代とご要望で判断しました。
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by o-oik | 2014-04-06 18:25 | 住まいにまつわる私の考え

空気を洗う春の雨

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昨日、夕方短く雨が降ったあとの、空。
春の雨はありがたいし、本当に気持ちよいですね。
植物にとってありがたいのはもちろんですが
木や建物や道、それに空気を洗ってくれるのも
まさに恵み、という感じ。

雨上がりの空気はしっとりとして、
マスク無しで歩いている人々も
雨を吸った地面や木々も
皆ほっとしているに違いないと想像してしまった。

近年雨のありがたみもリアルになってきたな…
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by o-oik | 2014-04-05 20:25 | 風景