カテゴリ:住まいにまつわる私の考え( 14 )

冬暖かい住まいは人を幸せにする6 -床暖房の使いどころ-

桜も満開をすぎましたね。皆様はこの春はお花見を楽しまれたでしょうか?
わたしは、お花見らしいお花見ではないですが、
一度見てみたかった千鳥ヶ淵の夕桜を思いがけずみることができて嬉しかったです。


  *  *  *


まだ続いていた「冬暖かい住まいは人を幸せにする」・・・春なのに(笑)

前回までは、
冬暖かい家をつくるには、しっかり断熱して窓からの冷気も防いだあとに、床を何で仕上げるか?が大切。
そして
無垢材に絞って話をすると、床材には大きく分けて二種類があること。

・傷になりやすいけれど、暖かく足腰への負担も少ない杉、桧、サワラなどの針葉樹
・傷になりにくいけれど、冷たく感じ比較的硬い、ナラカバチェリー、栗等の広葉樹

杉を取り上げて、針葉樹を床に張った場合の効果についてまで、お話しました。




今回は、広葉樹のような「硬い」床を張る場合について書いていきたいと思います。

杉は魅力的だけれども、
床は硬い方がよい、という場合もあるのではと思います。

同業の設計者の方とお話をしていても、「傷になるとクレームになるでしょう」と言って、
針葉樹を使うことは考えもつかない、といった反応をいただくこともあり。

このあたりは、建て主さんが出会った設計者の考え方にもよるところでして、
ご相談をいただくタイミングで、価値観を良くお伺いしておくことが大切と感じています。


   *   *   *


硬さのある広葉樹のナラを選択した事例。

一日の長い時間を過ごす、書斎とリビングを中心に、床の段差を取り払ったワンルームとして断熱耐震改修を行ったものです。



改修前のお宅を拝見すると、重たい椅子や、辞書を沢山載せたサイドテーブルなど、キャスター付きの動かせる家具を書斎でお使いでした。
お伺いした生活の様子から、書斎で過ごす時間が、お施主さまにとって大切な時間だと感じたことから、このケースでは「硬い」床材が適していると、判断をさせて頂きました。


既存の床の上から、後付けで置いてあった温水式床暖房をお使いだったので、
新しく断熱材も入れ替えたうえで、床に隠蔽するタイプに変更しました。

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結果、3種類の熱源が、ひとつの空間(1階の居間と書斎)に同居することに。

・ツインヒーター(FF式の石油ストーブ 兼 暖房用温水器)
・温水式床暖房
・窓下の温水パネル


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硬い床材は、床暖房と相性が良いのですね。
そのまま使うと、ヒンヤリしてしまうので、入れざるを得ないという事情がありますが、
「ヒンヤリしやすい」は裏を返せば「熱伝導率が良い」ということでもあります。

一方、空気を沢山含んだ柔らかい材料は、床暖房で熱を加えられることで
伸び縮みしやすく、相性が良くなかったりするのですね。。

暖房には設備費に加えてランニングコストもかかることも視野に入れて
どこに投資するか、それぞれのライフスタイルと照らし検討することが大事ではないかと思います。

もちろん、しっかり断熱を施すことは大前提として。
サッシの性能もあげ、冷気の進入を防ぎ、冬は利用できる太陽の日射熱を取り入れた上で、
どうするのか?

素材の選択で、エネルギーを消費せずに快適を保てるのなら
それがベストで、
それぞれの状況に応じて、判断することが大切かと考えます。

(杉の厚板と、ナラの床材サンプルに両手を乗せてもらった時点で「暖かさが違う」と反応があるくらい、体感には差が出ます。
 また、暖房時の温水の温度はなるべく低くして運転できるのが「良」です。)




   *   *   *




最後に、杉床のスペースに床暖房を組み合せた事例です。
といっても、床暖房は、窓下の熱源として利用して大きな窓面からのコールドドラフト(下降冷気)を防ぐ目的でコンパクトな範囲に納めました。


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Low-Eガラスの樹脂サッシとした家ですが、性能を上げていても、断熱材の入った壁に比べればガラス面は冷たく、コールドドラフト(下降冷気)が気になってしまう心配がありました。

お施主さまから「庭に面した掃出し窓にしたい」というご要望があったので
跨げる程度の腰壁を付けて放熱器を設置する案は見送り、

床に落とし込んで、床に空けたスリットから放熱する手法も、検討しましたが

出入りする窓の足元に、
床下用の、放熱フィンの付いた放熱器を設置すると、床にあけたスリットからゴミが落ちたりホコリが溜まるのでは、など
お掃除などメンテナンスの面で不安の声もありました。

そこで、うーーーん、と唸り

温水式の床暖房パネルを根太間にはめることを思いつき(!)
掃出し窓の下だけ、床暖房+タイル床を提案しています。
(他の壁にとりつけられた温水パネルと、同じ温水を廻しています。)

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タイルなので、濡れたものを置いても大丈夫ということで
置きたいと伺っていた観葉植物など鉢物への水遣りの際に、こぼれても具合がよいかなとも思い提案しました。

また寒冷地では、雪に濡れた手袋や靴をストーブの廻りで乾かしたり、暖める習慣があるのですが、ストーブのないこのお宅では床暖房の入ったこのタイル床が、手袋の一時仮置き場になっているとのこと、、
想定外の使われ方でした。
肝心の、コールドドラフト防止のほうも、効果が出ています。



冬もあるけど、夏もある日本。
開口部の扱いについては、地域に応じて研究の余地がありそうです。





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by o-oik | 2017-04-13 12:58 | 住まいにまつわる私の考え

冬暖かい住まいは人を幸せにする5 -床を暖かくするには-

今日から4月、桜も開花したというのに、昨日、今日は寒の戻りで寒くなりましたね。
思わず背中にカイロを貼って出かけました…。

「冬暖かい住まいは人を幸せにする」まだ続いています!
今日は床を暖かくする方法についてです。

   *  *  *  

足下が冷えると、例え室温が一定のレベルに保たれていても「寒い」と感じることは、どなたも経験的に理解されている通りだと思います。冬暖かい家をつくるには、しっかり断熱して窓からの冷気も防いだあとに、床を何で仕上げるか?が大切になります。

この順番は大切。

「床暖房」を採用することで、断熱や開口部の仕様の低さを補う、熱がどんどん逃げてしまう状況で暖房器具に頼るのは、本来は優先順位が違っているということに、皆さんが気付いていく時代になったと感じます。断熱と開口部の仕様を上げることが先です。熱が逃げっぱなしで放置するのはモッタイナイです。まず、温熱環境のクオリティが下がってしまいモッタイナイ、更に余計なエネルギーコストを払い続けることになりモッタイナイ。

二重にモッタイナイ。


床の表面温度が低いまま、エアコンの設定温度を上げてしまうと、頭の方が熱くて足が冷たいという不快な状況に。
男性よりも、女性の方が足下の温度が下がると「寒い」と感じる傾向が強いとする研究結果も出ているようですが、断熱をしっかりして気密も確保することにより、室内の床と天井「上下の温度差」も小さくなりますので、有効に「冷え」を遠ざけることができる訳です。


さて、では床には何を使うのが良いのでしょうか?

床に使うフローリング材のなかでも、話をシンプルにするため、無垢材に絞ってお話すると、樹木は針葉樹と広葉樹に分かれ、ごくごく、大まかに表現すると、それぞれに以下のような特徴があります。

杉、桧、サワラなどの針葉樹     ・・・柔らかい(傷になりやすい)/暖かい 

ナラ、カバ、チェリー、栗などの広葉樹・・・硬い(傷になりにくい)/冷たい


針葉樹の中でも、無垢の杉材は特に空気を多く含み、足の裏がひんやりしない、というのはすでにご存知かもしれませんね。

ひんやりしない効果、どのくらいかと言うと、たとえば

杉の無垢床にした新しい家で生活を始めた建て主さんから「これまでは、冬は『床が冷たい』からお客さまにスリッパを出していたのに、今は必要が無いのでスリッパを出さなくなったんですよ」と報告を頂けたくらい。 希望の数のスリッパを収納できるよう、現場で収納を調整した家でしたが、、嬉しい誤算でした(笑)

ちなみに、同じ家の2階の床には同じく針葉樹の桧(ひのき)を貼りましたが、比較的密度が高く杉と比較するとヒンヤリ感があるようです。

床材の選定は、無垢のフローリングを貼ったショールームをご覧頂いたり、必ずカットサンプルが見て頂きながら説明をしています。

柔らかいので身体への負担も少なく、足の当りが暖かい。その反面、時間が経つと色が変わってゆき、傷が増えてゆく。そんなことも全て含めて時間が経過するにつれて出て来る「味」と受け止めることができるケースであれば、杉の無垢材は「冬暖かい家」の床材に適しているようです。


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杉の持つ素材としての暖かさに加えて、蓄熱効果も期待したいところ。
(ちなみに映っている椅子は、ki-to-teさんの「畳摺りスツール」文中のお宅とは別の家です…。)


またまた長くなる予感がするので、、今日はここまでに致します。
(床の話がつづきます。次回は広葉樹の床材と、床暖房のことも書きます!)





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by o-oik | 2017-04-01 20:17 | 住まいにまつわる私の考え

冬暖かい住まいは人を幸せにする4 ー暖房エネルギーを減らすー



なんでもない一日を、大切にしようという思いが新たにされるような3月です。


建物から無駄に流れでているエネルギーを出来るだけ少なくして
太陽のエネルギーを享受する。
寒さに耐えることに費やされている人間のエネルギーを
良い方向に使えるよう、住まいを整える。

一人一人が幸福と感じる時間を増やす。

それは繋がっていることだろうと思っています。



間違いに気づいたら、変われば良いし
表面的に見えているコストを下げることを引き換えにした
冬寒く夏熱い家をこれからは選択しない。

長期的なエネルギーのランニングコストを含めて冷静に判断すれば
温熱性能に投資をするという選択が
住まいを持とうという人達にとって普通のことになる日は近い(はず)。

将来リフォームすることを考えても、
壁を剥がして断熱材を入れたり、サッシを付け替えるのはどうしてもハードルが高い。
優先順位を考えて、お施主さまに提案することや、住に関わる「仲間」にも認識を拡げることは私たちの仕事だなあと感じるところです。

エネルギーコストが上昇することはほぼ確実で
進む方向ははっきりしているので
あとはやるだけ、変わるまで続けるだけなのですよね。


*   *   *


床の話を書こうと思っていたのですが、、
前置きを書いているうち、そんなながれになったので
今回は寄り道してエネルギーの話を書きます。
ますますややこしくなってしまいますが、どうかご容赦を。。


住宅で使うエネルギー

換気
照明
冷房
暖房
家電など、その他のエネルギー

のうち、
「暖房エネルギー」の占める割合は大きく
建物の性能を上げたり、熱源機の種類を変えることで
減らしやすい部分といえます。

東埼玉の家は、「一次消費エネルギー計算」をして性能を確認しながら設計しました。その際の「判定プログラム」をみてみると

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右上のグラフの部分を拡大。

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赤   「暖房」
水色  「冷房
青   「換気」
黄緑  「給湯」
オレンジ「照明」
グレー 「その他のエネルギー」

関東の住宅で
主な開口部にはlow-Eペアガラスを入れ、庇のある設計ですが、実は飛び抜けて開口部の性能が良い訳ではないですし、もっと
高い数値を求めることもできたでしょうね…。ここでは太陽電池を乗せて消費エネルギー量を相殺することもしていません。
(ここでは、フラット35Sの省エネ等級5をクリアすることを目標にしました。)
平屋部分が多いので、開口部率が低く抑えられ、このプログラム上、良い数値になりました。
これは計算値で、実際に冷房に使うエネルギーの割合はもう少し増えるのではないかと思ってますし、
体感性能を上げる観点で、このプログラム上の数値とは別の検討が必要と私は思ってマス。


反省はさておき、、

それにしても、暖房エネルギーの割合とくらべると冷房はそれほどでもないんですよね。
基準値からして、この差はなんだろう、と。

熱源機の選択によって、大きく消費エネルギー量が変わるのですね。

たとえば、この家は、ヒートポンプ熱源の冷温水器を置いて、
冷温水を放熱器に循環させる方式の冷暖房を採用しているのですが

試しに、電気ヒーターを熱源に設定して計算すると、
がーんと数値がアップしてしまいます。
(暖房用熱源としては、電気ヒーターが最も消費エネルギーが多い。)



少々ややこしいですが、上の表について簡単に説明をしておきますと

住宅で使う電気、灯油、都市ガスなどのエネルギーを「二次エネルギー」と言って、このままだとkwとかリットルとか、MJとか単位がバラバラなので
化石燃料や、水力、太陽光、原子力、などの自然から得られるとする「一次エネルギー」に換算することで、単位を揃えて扱う判定プログラムです。
「建っている地域」「規模」「建物の性能」※や「使用する設備の概要」を入力すると消費エネルギー量を計算してくれます。

次にいきましょう…!

また、「建物の性能」と一口に表現していますが、

・外皮(屋根・壁・床)の面積と各部の仕上げ材を含んだ断熱性能。
・窓の向き、庇の出具合、夏と冬で日射をどのくらい受容・遮熱するか。
などを、細かく数字を入れ算出します…。ちなみに、2020年には住宅にもこの計算が義務付される見込みです。(国のロードマップによれば…)


ええと、グラフに戻ると

下の二つは、それぞれ「省エネ」「低炭素住宅」の基準値を示すので
この家の一次消費エネルギー量は、トータルでそれぞれの基準値をクリアしていますよ。ということが判ります。

それぞれの基準値について説明すると長くなるので割愛、ごめんなさい。(どちらも日本国内のこれまでの基準よりは高い。)


冬について言えば、


「エネルギー効率の良い熱源機を使えば」一次消費エネルギー量が下がる。


「外皮(屋根・壁・床・窓)から逃げる熱の量を減らせば」一次消費エネルギー量は下がる。
 
 
「窓から入ってくる太陽のエネルギーが増えれば」一次消費エネルギー量は下がる。



となります。
設備と、外皮の性能をセットで評価できる点が
優れた評価プログラムだと思います。


日本は、太陽のエネルギーに恵まれている地域で、北緯でいえば
東京はアルジェリアと同じくらい。
北海道でもイタリアのローマくらい。

透明なガラスが美しいモダニズム建築はフランスやドイツの辺りが発祥で
同じ北緯で東に辿って行くと、その先は樺太だったりするんですよね・・という訳で、安易にマネするのは危ない。


扱い方によっては危険なパワーを秘めている太陽のエネルギー。

夏もあることですので、庇を使い
季節によってコントロールしながら、冬の日射を上手く取り込みたいと考えています。

…つづく!


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by o-oik | 2017-03-13 13:56 | 住まいにまつわる私の考え

冬暖かい住まいは人を幸せにする3  -窓からの冷気を防ぐ方法、いろいろ-



今日から3月弥生。
着実に春に向かう毎日、だんだん日も長くなって来ましたね!
頂き物のふきのとうをどうやって食べようか、楽しみなこの季節。
(ふき味噌、辰巳芳子さんのレシピで作ろうかな。)


季節の変化もなんのその、今日も冬暖かい住まいについて続きです。(笑)


*   *   *


前回の記事では、
室温は体感温度と異なること。
体感温度を上げるには、特に温度の下がる窓ガラスなど、開口部に対策を施すことが大切、というお話をしました。

リフォームの事例を例にとって、お話します。

断熱、耐震改修を行った カラマツ書庫の家

こちらは、当時 収納しきれない本を納める本棚が欲しい、というご要望から始まった計画ですが

冬の寒さをどうにかしたい 地震が不安、などなど他にもご要望がありました。


モンダイの開口部ですが、もともと入っていた古いアルミサッシは
シングルガラス(!)でした。
寒冷地なので、内側に木製のガラス引き戸が入っていましたが
隙間から冷気がビュービュー入ってくる。

今から40年ほど昔の建売住宅、当時の設計ではよくあることとして
開口部が大きすぎ、地震に耐える壁が不足していました。

また、人目に付きにくい裏側にある掃きだし窓は、温熱環境上のみならず、
防犯上もマイナスでお困りでした。

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大きすぎる窓の外は、裏のお宅の玄関先になっていて、落ち着きません。
折角の大きなテラスサッシですが、ここから出入りすることもなく、
却って防犯上の弱点に。
そしてなにより、寒い!
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断熱工事の様子です。
白い枠の樹脂サッシはLow-E(低放射)のペアガラスのものを選びました。
サッシの幅を小さくして耐力壁をつくり、出窓を仕込んであります。

ヨコから見ると、こんな風に。


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出窓があると、限られた面積でもより広く感じますよね。
コールドドラフトと呼ばれる窓面からの下降冷気も、ストーブの熱源が近くになるので気になりません。(ちなみに、FF式なので室内の空気は燃やしてません。)

石油ストーブって、ちょっと懐かしいモノなのですけど、、
シニア世代のお施主様の長年の生活感覚を大事にして、ストーブの暖かさを残そう、と判断しました。
(電気熱源の暖房用給湯機とする手もありましたが、この場合はこれがよかったかなと。)

「ツインヒーター」という製品で、窓下の温水パネルや温水床暖房の熱源を兼ねる優れものです。


こちらは、さきほどとは反対側から見た改修前の写真です。

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奥の部屋は、もともと和室だったところを書斎に改装してありました。
左側に見えているガラス引き戸は、造りつけの本棚です。
が、
年月を経て、そこに納まりきらない本が入ったダンボールが部屋中に積まれ、足の踏み場のない状態でした…。


壁が迫った隣地境界に面する窓は「要りません!」とのことだったので
思い切ってふさいで壁をつくり、落ち着きのあるスペースにしました。

2階からの光で、蛍光灯が無くても明るいリビング兼書斎になりました。
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床の段差も解消した、フラットな床のワンルームです。


ちなみに、窓下にある板状の細長いものは、暖房用の温水パネルです。

このように、冷気の侵入口になる窓下に熱源をもってくる、というのは
温水パネルを配置するときのセオリーのようなものですが、
こうやって寒さを取り除くことで、同じ室温でも暖かく感じる工夫をしています。

外からみると、これが
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こうなりました。
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外壁の間口いっぱいのアルミサッシの幅を詰め出窓とし
Low-Eガラスの入った樹脂サッシに入れ替え。

外観のポイントにもなったのではないかと思います。


比較的規模の大きなリフォームですが、全居室を同じ密度で改修したわけではなく
長く過ごす1階を中心に重点的に手をいれ
コストの掛け方に場所に応じメリハリを付けることで効果を引き出しています。

例えば、2階の階段室の窓は、既存のままのシングルガラスのアルミサッシに
樹脂製の内窓を室内側から取り付けて、冷気が入るのを防ぐ、というように。

「インナーサッシ」という呼び方をした樹脂製の内窓、
最近よく耳にするようになりましたが
外壁を触りたくないときには、効果あり、です。




でもなあ、インテリアを大事にしたいので、樹脂性の内窓は
見た目がちょっとね・・という方は、そうですね。

昔ながらの方法ですが、サッシはそのままに、内側に和障子を入れるのも、冷気を遮断する効果がありますよ。

大工工事が入るのはちょっとなあ、という方、
そうですね
「ハニカムブラインド」といって断熱性のあるブラインドを取り付けるのも効果がありです。


ブラインドなら、工事も簡単ですので
取り入れやすい方法ではないかと思います。


長くなりました。汗
そして まだつづきます・・・!





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by o-oik | 2017-03-01 13:12 | 住まいにまつわる私の考え

冬暖かい住まいは人を幸せにする2  ー「体感温度」と「室温」は違うものー

こんにちは。
東京では梅の花が香り、ふきのとうが芽を出し、鳥のさえずりにも春を迎えるヨロコビが感じ取れるような(気がする)この頃。
季節に逆行するようですが、今日も、冬暖かい住まいについて、書いてみたいと思います。

「冷え取り」「温活」特集など本屋で見かけると、ついつい読んでしまうのですが、今シーズン新しく知った「背中の肩甲骨の間にカイロを貼る」という方法は強制的ながら効果がありました。外仕事のあるときには今後取り入れて行こうと思います・・・!

*  *  *

さて、本題に入ります。

はじめに、ひとつ質問を。
暖房を22℃に設定したときに、「体感温度」も同じく22℃でしょうか?


昼間陽があたって温まっているタイル床と、
しばらく留守にしていて冷え切っているタイル床。
それぞれの場面で、同じ暖かさに空気を暖めても
片方では「暖かい」と感じ、もう一方では「寒い」と感じることは想像できると思います。

暖房器具にもよりますが、「室温」(空気の温度)が22℃のときの体感温度はイコールとはなりません。

壁床天井などから発せられている熱を「放射温度」といい、

・床
・壁
・天井
・窓(枠やガラス)
・テーブル 
等々
これら全て、部屋の表面の放射温度と、室温(空気の温度)を足して2で割った平均値が
おおむね体感温度とイコールになる、と言われています。

夏、洞窟に入るとヒンヤリするのは、岩に蓄えられた冷たい「熱」を、放射冷気として感じているからですし、陽だまりにいると暖かいのは、太陽の日射から熱を得るのと同時に、温まった床や壁からの放射熱を感じているから、という訳です。


暖房の温度(空気の温度)が22℃のとき、
部屋の表面の放射温度の平均が14℃とすると、体感温度は18℃

同じく
暖房の温度(空気の温度)が22℃のとき、
部屋の表面の放射温度の平均が20℃であれば、体感温度は21℃

と、差が出てきます。




部屋の表面温度のなかで、もっとも冷たくなるのは窓ガラスの表面です。
放射温度計で、シングル窓ガラスのある部屋で、ある朝の表面温度を測ってみたところ

シングル窓ガラス 10℃
床 15℃
壁15℃


という結果でした。

(ちなみに同じ時間の
陽のあたっている床 26℃
陽のあたっているシングル窓ガラス 19℃
・・・太陽の威力判りやすいですね。)


リフォーム等で温熱環境を改善する際には、建物全体の断熱性能を上げることはもとより、それが叶わない場合も
温度が大きく下がる窓ガラス面に、まずは対策を施すことがとても重要になります。

新築の場合は、関東でもペアガラスの入ったサッシを選ぶことが普通になりましたが、状況に応じて、断熱性能の高いサッシを選ぶことは、効果が大きいです。


今日はここまで。
まだ続きます・・・!




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by o-oik | 2017-02-20 11:28 | 住まいにまつわる私の考え

冬暖かい住まいは人を幸せにする1  ー冷え性は仕方ない?ー


立春をすぎて、陽の暖かさに春の気配を感じ取ってみたくなる季節になりました。
とはいえ、まだまだ寒い。春が来るまで辛抱我慢の2月です。

私は冷え性である上に、当たり前のように冬季の室内は暖かい北海道で育った記憶は強固なようで、
いまだに「東京の家は寒すぎる。どうして建物の中に居て手がかじかむのだろう?なぜ家の中で足がしもやけになるのだろう?私何か悪いことしましたか~?」と
時々穴を掘って叫んでいます。

…というのは冗談です(笑)。もう大人なので実際はそんなことはいたしません。

おとなしく室内履きを用意し、体質を改善すべく毎朝体操を続け、漢方薬を飲み始めてみたり、根菜を多く食べ、生姜を飲み物に投入し、、etc対策を講じています。
が、PCに向かいキーボードをたたいている今も手の指が冷たい。室内履きの中の足も冷たい。

私と同じように、様々な策をとりながら寒さと付き合っている方もいらっしゃるのではないでしょうか?


「寒けりゃ一枚余計に上着を着ればよいでしょう。」
「寒いくらい我慢できないとは軟弱だ!」

関東に住み始めてからこれまでに、建物の中が寒いと訴えたときの代表的な反応は上記の二つのパターンでした。

なるほどそうですね、、本州の人は随分身体が丈夫なのだな。

そう自分に言い聞かせてきましたが そろそろ我慢の限界、本音を書いていきたいと思います。笑



昨年平成28年4月には省エネ法が一部施行されて、新築住宅に課せられるスペックが上がる一方、既存の建物の中には「無断熱住宅」なるものが多く存在しているのも世の現状です。家の建物の寒さを仕方ないこととして、捉えている方は多いのではないでしょうか。「家は夏を旨とすべし」なんて、800年前に有名人がうっかり書いたものだから、まだ信じてる人が居たりして。

断熱なんかしなくても、エアコンを付ければあったかくなるでしょ。
なんてことを言ってのける人々。(注:私には、暴言に聞こえるのです。)

床下の湿気対策は抜かりなくても、床の断熱材を入れずなんの疑問も持っていない人々。彼らに遭遇する出来事があり気づかされたことがあります。

それは私たち専門家にとっての「当たり前」はまだ「世の当たり前」ではないということ。そして、彼らにはなんの悪気もないこと。私たちが十分に「お知らせ」をできて居ないことを思い知らされた出来事でした。



これまで寒かった室内の温熱環境が改善されるとどうなるのか?

今費やしている不要なエネルギーを、もっと向けるべきところに使えるようになります。

暖房エネルギーだけの話ではありません。人間のポジティブなエネルギー、健康に充実して過ごすことのできる人生の時間が増えます。(イギリスでは「住宅改修によって医療費を減らせる」という試算の元に、政策として断熱改修に取り組んでいるそうです。)

とくに、高齢者と呼ばれる年代に方々にとって、住まいの寒さ改善によって、健康寿命を延ばす可能性があるという研究もされています。※
世界に先駆けて、高齢化社会への道をばく進することになる日本で、住宅の断熱のレベルを、法律で底上げできる新築住宅だけでなく、既存住宅も含めて、底上げしてゆくことが大事だと感じます。


設計を依頼してくれるお施主様には、「当たり前」のこととして、断熱性能や居住性のことを考えた材料の提案を行ってきました。
これまで考えてきた住まいの断熱や寒さを感じにくい工夫について、数回に分けてお伝えできれば思います。

※慶応大学理工学部 伊香賀俊治教授による




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by o-oik | 2017-02-08 13:53 | 住まいにまつわる私の考え

キッチン・台所について2

(キッチンと台所て同じコトですね…。)
以前も同じテーマで書いたので今回はキッチン・台所の「2」としました。


キッチンはオリジナルで造りたいと考えています。理由は、

・オリジナルでキッチンをつくるとプランの自由度が上がること。
(特にコンパクトな住まいを希望する場合は、オリジナルの造作キッチンを使うとプランの自由度が大きく変わる。キッチンも使いやすく工夫できる。)

・ステンレスのフードやカウンタートップに使う素材の厚さまで指定できる。
(ちょっとしたことなんですけどね…)

・家の他の部分とのバランスを考えて、素材を合わせることができる。
(私の設計ではピカっとした仕上げはあまりないので既製品を合わせにくい事情もあり。)

といいつつも、哀しいかな、生来のバランス型人間なのでコストバランスで判断することになりますね。
例えば、リフォームの物件で、お住まいになるお施主さんがキッチンに重きを置いていない場合にはあっさり既製品を使ったりもしています…。


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洗面カウンターと共に、カラマツ材の三層パネルで造作してもらったキッチンです。
元々使っているキッチンよりもコンパクトになったのですが、「こちらの方が使いやすい」とのこと。
あれ?IH入ってるし。笑(※)
クッキングヒーターの背中側に冷蔵庫、写真正面のL字になった部分は奥行きの浅いカウンターになっていて、電子レンジや炊飯器はここに置くようになります。
流しの正面の窓からは朝日が差し込み、庭が眺められます。
(ご近所さんの庭を借景にさせてもらいました。)


「キッチン・台所について」でアツく主張したのですが…。
このように施主さんの希望は結構聞いてしまう方です。汗
このお宅の施主さんのご年代とご要望で判断しました。
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by o-oik | 2014-04-06 18:25 | 住まいにまつわる私の考え

着ることと 食べることと

「衣食住」とはよく言ったものですね。

最近よく考えていることは、
家は大事だけど、
家だけじゃない ということ。
人の生活は 着ることも、食べることもあわせての暮らしなので
家を整えることにだけエネルギーを掛けて、
食事はカップスープ、というのはどうもバランスが悪いな。
と、食い意地の張ったじぶんとしては 思ってしまう訳です。

ドイツの暮らしを体験した複数の知人から聞いた話ですが、
この国のキッチンのシンクは小さいのだそう。
洗面所のボールくらい、とかトイレの手洗いくらいという表現をする人も。笑
理由は、水仕事をしてキッチンを汚したくないからだという。
大きい小さいは、比較の話で 所変われば 基準が変わる。
それだけとも言えるのですが。

彼らは家をとても大事にしていて
時間とエネルギーをかけ、居心地の良い場所をつくることに邁進する
その分、着たり食べたりすることは、「比較的」軽くなるのかもしれません。

日本は、、、いっとき着ること「装うこと」へ掛けてきたエネルギーは相当なものだったと思います。
食べることは、住むことは、どうだろう。。?


            *    *    *


時間もお金も、何に投資するかがその人の価値観で、その積み重ねが人生ですね。
ちょっと大げさな表現ですけど。

「家は、誰かに自慢するためのショールームではないので。」
と、ちょっと棘のある言葉を口にしてしまうことがあります。
もったいないと思うからです。
ちょっと花を飾ったり、カーテンを代えたりするだけでも
そこで過ごしている人を元気にしてくれます。
棚に溜まった埃を拭う、とか。
繰り返し言われて来たことで、もう聞き飽きたような事なんですが、
でも、やると良くわかりますよね。

来客のためではなく、自分達が本当にその空間が好きで、楽しんでいるからこそ家を整える。
そう思うことができれば、片付けは苦でないですし、本当に力をくれるものです。


         *        *         *


「夢」というようなものは必要。
夢のために、全部犠牲にするというのはちょっと違うと感じています。
日常生活に時間をお金をきちんと費やすことが、豊かということになるんじゃないかな。

河井寛次郎は、陶芸のほか言葉も残した人なのですが、
その中に 
「暮しが仕事、仕事が暮し」
というのがあります。

・・・今まで、「仕事とはその人の生活そのもの」という意味だと思ってましたけど
どうやらそれだけじゃないですね、これ。 引用しようとして気付きました。笑
暮らすこと自体が、仕事(大事な事)という意味にもとれますね。。


思わずニヤリ。 



更新が久々で、溜まっていたコトをとりあえず書き出したようなものになってしまった。
とりとめのない文章を、最後まで読んでくださってありがとうございます。
週が明けたら10月ですね。
仕事に追われるのではなく、追わせる決意。


今日は東京は晴れて、秋の光が綺麗です。
みなさまお元気で 日々をお過ごしくださいね。


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by o-oik | 2012-09-29 10:55 | 住まいにまつわる私の考え

照明について

しばらくぶりの更新です。

昨日は、今計画をすすめている
住宅の基本設計のお打合せのため京都にいました。

1/100の手描きのプランやら、模型、
今回は提案を判りやすくするためのフリーハンドのパース
もお土産に、お昼も含めて5時間程度。
家づくりとは無関係にも思えるような話題が
実は大切と再認識もしながらの、印象的な打合せとなりました。

さて、その打合せのなかで照明の話が出たのですが
要約すると
奥さまもわたしも
「蛍光灯よりも白熱灯が良いよね」
という思いが一致していたのですね。
そしてその時
ふと、奥さまが漏らした

「及川さんが、”蛍光灯好き”じゃなくて良かった。。。」

の一言に、
  世の中の主流の考えから外れている
  大きな声では言いにくい
なんて理由で
考えをはっきり表現してこなかったことを反省したわけなのでした。


というわけで、その思いが新鮮な内に
明言することに致します!

 
       *  *  *

「蛍光灯は仕事や勉強のための灯りです。
夜寝る前過ごす時間の明かりや
食事を採る時間
リラックスしたい時は蛍光灯ではなく
白熱灯を灯しましょう。」


蛍光灯にも、白い光のもの、黄色っぽい光のもの、
タイプがあるのはご存知ですよね。
電球色の蛍光灯なら良い?
たしかに、色温度※は白熱灯と似たものです。
(※灯りの「色」をあらわす指標。青白い光は色温度が高く、オレンジの光は色温度が低い。)

わたしの感覚から言うと、
蛍光灯の電球色には、重たい感じがあり、実はちょっと苦手です。

照明の光源を開発するお仕事をされている方からうかがった話や
本を読んだりWikiったりした自分なりの認識をざっくり述べると

蛍光灯の電球色は、例えて言うと、黄色いセロファン越しに白い光を当てている
ようなもので、部屋が黄色く染まっているような効果で、重たく感じるようです。

(ちなみに、LED光源についても、同じ原理で色を変えており、LED本来のナチュラルな色味は
青白い光で、照度も得やすいそう。)


蛍光灯の発光原理としては、、
蛍光管内での放電により発生した紫外線が蛍光物質にぶつかって発光しているので、
認識できないくらいの速度でついたり消えたりを繰り返しています。

そして ちらつき、という形で知覚していないときでも
視覚がその高速の「ついたり消えたり」を捉え、脳に信号を送っています。
そのため疲れの原因になったり、
なんとなく居心地が悪い、という感覚として認識できる人もいるのではないでしょうか。


一方白熱灯は、これもざっくりとした理解ですが
電気エネルギーがフィラメントから光、赤外線、熱の3つに変換されているものです。
光(可視光線)も赤外線も、電磁波ですが、その波長によって光になったり赤外線になったり
している訳です。赤外線が物質にあたると熱になります。

光と赤外線を放出し、あたると熱になる。
これって太陽光と同じ原理。(冬の日の日向ぼっこを思い出していただければ・・・)

そして蛍光灯が、赤青緑の3種の光を混ぜて白っぽい光を造っているのとは対照的に
白熱灯は太陽光と同じく、連続したスペクトルを持っています。
なので、自然な色味があり、食べ物が美味しく見えたり
写真や映画の撮影用の照明にも使われているんですね。(これはWikiiで知りました。)



説明が長くなりましたが
「光のクオリティ、という観点からいうと、白熱灯が断然優れている」
というのは
懐古主義や感傷ではない、というのに賛同していただけると思います。

しかしです。

みなさんもご存知の通り
光だけでなく熱や赤外線に変換されてしまう白熱灯は、
エネルギー効率、という観点から
生産を修了するメーカーが続き、今後徹底的に他の光源に変換が進められる流れ。
(白熱灯好きとかほんと言いずらいです。)

クオリティの高い光を大事に使う道を残しておいて欲しい、と願います。

煌々と明るくせず、照度を下げたり、
自分が過ごすスペースを中心にぼうっと明るくなるような
使い方をする。
時間帯により使い分ける。

エネルギーの使い方は、光源の効率だけでは計れないはず。
技術の発展を否定するわけではないのです。
ただ、住宅は、生き物としての人間が休息をする場でもありますから。
(「温暖化対策」の前では随分ナイーブに聞こえてしまうかもしれませんね。)

ガスを封入して、エネルギー効率をアップさせた
ミニクリプトンやハロゲンといった電球もあることですし
(いえ、エネルギー効率、という指標で切ると依然として弱いですけど)

例え家中、全て蛍光灯やLED、であったとしても
(キッチン以外全て白熱灯です、なんて言えない。。)
せめて、寝る前の時間帯だけでも
照度を下げた白熱灯の灯りを使ってみてもらえれば~と思うのです。

長くなってしまった。
照明(光源編)についてでした。
最後まで読んでくださって、本当に、ありがとうございます!
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by o-oik | 2012-03-07 14:45 | 住まいにまつわる私の考え

たとえばの、「収納」

「住宅」、を木槌で叩いてばらばらに分解すると

「省エネ」 や
「家事動線」 や
「バリアフリー」 や
「資産運用」 や
「収納」 や
「耐震」 や…
住宅を説明するときに使われることが多い
耳慣れたパーツが散らばる。

ばらばらになった破片は、
住宅の一側面ではある。
そして「住宅」の本体ではない。
私は本体であるところの、キラキラしたイメージを追いかけて
手を動かす。そうしているつもり。

例えば、
「収納」は無くてよいとか、適当で良いということではないんです。
「収納」の収まりの良い答えを探して、ぐるぐるしているとき。
手を動かしていると
ふいにプランが活き活きしてくる。
その時、その「収納」の計画が上手く行っている、ということだと思います。
だから、収納のノウハウ、のようなルールがあって、
それを満たしさえすればよい、なんてことはない。
パーツは「住宅」に先行しない。

収納の計画は好きです。
お施主さんと一緒に
わくわくできるところだから。

今週、手を動かしながら考えてたこと。

何か書きたくて書き始めたら
今日はこんな話になりました。
読んでくださり、ありがとうございます。
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by o-oik | 2012-02-24 23:41 | 住まいにまつわる私の考え