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古色は極彩色ー京都その2

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今日は風が気持ちよい日ですね。
思い出しつつ、はや一週間経過しました「京都」のつづきです。

三千院では宸殿とその庭園など拝観したのち往生極楽院へ。

「往生極楽院(ごくらくおうじょういん)」は国宝の阿弥陀三尊像が納められているお堂。
慣れた感じのお坊さんが解説してくれ、見学者を楽しませていました。
さすがは京都。観光スポットとしての受け入れ態勢がこなれていることに感じ入ります…。

さて、お堂の天井は煤で覆われ、その暗がりの中、阿弥陀如来を中心に三体の仏像が金色に浮かび上がる
・・・
まさに古色蒼然といったところですが、
黒く見える天井には極彩色で描かれた来迎図が描かれていたと
赤外線を使った調査で分かったのだとか。

復元された天井画を敷地内にある円融蔵(えんにゅうぞう)で見学することができました。

そこで目にしたお堂の内部には、
舟形天井の正面妻に、雲に乗った楽隊
天井には花びらを撒き空を舞う天女
さらにずらり並んだ菩薩様。

パッキリしたブルーの背景に、朱、緑、ピンク・・問答無用で楽しそうな色使いです。
ブルーに使われていたのはアズライトという鉱石。
見上げれば天女は花びら撒いているし、
楽隊は笛に太鼓に琵琶かき鳴らすし、
どこからか音楽が聞こえてきそう。
浄土からの迎えも悪くないという気になります。笑


昨年公開された高畑勲監督の「かぐや姫の物語」のラストの月の使いが降りて来るシーンが印象に残っているのですが、(これから見ようという方は、読み飛ばしてください。。)

あのモチーフは来迎図にあったのね…と納得がいきました。哀しいラストですが、無慈悲なまでに楽しげな音楽とともに、雲に乗ったお迎えの一団が主人公を連れて行ってしまうシーンに、来迎図のモチーフは嵌っていると感じます。

ちょっと脱線。

煤の覆いは天井画を腐食から護り、現代の私たちにとって安心して
鑑賞できるイメージを護っていたとも言えますが、
世界中にある古建築や遺跡で、顔料を特定する技術が応用されるようになったことで、
イメージが更新されてゆくのはエキサイティングなことですね。

…それにしても、この天井のもとに金色の三仏が鎮座するお堂、
当時の人からみるとそうとうに刺激的ですよね。


まだつづく。
by o-oik | 2014-04-23 15:05 | 建築


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