夕桜

少し前になりますが、千鳥ヶ淵で見た夕桜。ひととき癒されました。
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# by o-oik | 2017-04-16 21:49 | 風景

冬暖かい住まいは人を幸せにする6 -床暖房の使いどころ-

桜も満開をすぎましたね。皆様はこの春はお花見を楽しまれたでしょうか?
わたしは、お花見らしいお花見ではないですが、
一度見てみたかった千鳥ヶ淵の夕桜を思いがけずみることができて嬉しかったです。


  *  *  *


まだ続いていた「冬暖かい住まいは人を幸せにする」・・・春なのに(笑)

前回までは、
冬暖かい家をつくるには、しっかり断熱して窓からの冷気も防いだあとに、床を何で仕上げるか?が大切。
そして
無垢材に絞って話をすると、床材には大きく分けて二種類があること。

・傷になりやすいけれど、暖かく足腰への負担も少ない杉、桧、サワラなどの針葉樹
・傷になりにくいけれど、冷たく感じ比較的硬い、ナラカバチェリー、栗等の広葉樹

杉を取り上げて、針葉樹を床に張った場合の効果についてまで、お話しました。




今回は、広葉樹のような「硬い」床を張る場合について書いていきたいと思います。

杉は魅力的だけれども、
床は硬い方がよい、という場合もあるのではと思います。

同業の設計者の方とお話をしていても、「傷になるとクレームになるでしょう」と言って、
針葉樹を使うことは考えもつかない、といった反応をいただくこともあり。

このあたりは、建て主さんが出会った設計者の考え方にもよるところでして、
ご相談をいただくタイミングで、価値観を良くお伺いしておくことが大切と感じています。


   *   *   *


硬さのある広葉樹のナラを選択した事例。

一日の長い時間を過ごす、書斎とリビングを中心に、床の段差を取り払ったワンルームとして断熱耐震改修を行ったものです。



改修前のお宅を拝見すると、重たい椅子や、辞書を沢山載せたサイドテーブルなど、キャスター付きの動かせる家具を書斎でお使いでした。
お伺いした生活の様子から、書斎で過ごす時間が、お施主さまにとって大切な時間だと感じたことから、このケースでは「硬い」床材が適していると、判断をさせて頂きました。


既存の床の上から、後付けで置いてあった温水式床暖房をお使いだったので、
新しく断熱材も入れ替えたうえで、床に隠蔽するタイプに変更しました。

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結果、3種類の熱源が、ひとつの空間(1階の居間と書斎)に同居することに。

・ツインヒーター(FF式の石油ストーブ 兼 暖房用温水器)
・温水式床暖房
・窓下の温水パネル


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硬い床材は、床暖房と相性が良いのですね。
そのまま使うと、ヒンヤリしてしまうので、入れざるを得ないという事情がありますが、
「ヒンヤリしやすい」は裏を返せば「熱伝導率が良い」ということでもあります。

一方、空気を沢山含んだ柔らかい材料は、床暖房で熱を加えられることで
伸び縮みしやすく、相性が良くなかったりするのですね。。

暖房には設備費に加えてランニングコストもかかることも視野に入れて
どこに投資するか、それぞれのライフスタイルと照らし検討することが大事ではないかと思います。

もちろん、しっかり断熱を施すことは大前提として。
サッシの性能もあげ、冷気の進入を防ぎ、冬は利用できる太陽の日射熱を取り入れた上で、
どうするのか?

素材の選択で、エネルギーを消費せずに快適を保てるのなら
それがベストで、
それぞれの状況に応じて、判断することが大切かと考えます。

(杉の厚板と、ナラの床材サンプルに両手を乗せてもらった時点で「暖かさが違う」と反応があるくらい、体感には差が出ます。
 また、暖房時の温水の温度はなるべく低くして運転できるのが「良」です。)




   *   *   *




最後に、杉床のスペースに床暖房を組み合せた事例です。
といっても、床暖房は、窓下の熱源として利用して大きな窓面からのコールドドラフト(下降冷気)を防ぐ目的でコンパクトな範囲に納めました。


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Low-Eガラスの樹脂サッシとした家ですが、性能を上げていても、断熱材の入った壁に比べればガラス面は冷たく、コールドドラフト(下降冷気)が気になってしまう心配がありました。

お施主さまから「庭に面した掃出し窓にしたい」というご要望があったので
跨げる程度の腰壁を付けて放熱器を設置する案は見送り、

床に落とし込んで、床に空けたスリットから放熱する手法も、検討しましたが

出入りする窓の足元に、
床下用の、放熱フィンの付いた放熱器を設置すると、床にあけたスリットからゴミが落ちたりホコリが溜まるのでは、など
お掃除などメンテナンスの面で不安の声もありました。

そこで、うーーーん、と唸り

温水式の床暖房パネルを根太間にはめることを思いつき(!)
掃出し窓の下だけ、床暖房+タイル床を提案しています。
(他の壁にとりつけられた温水パネルと、同じ温水を廻しています。)

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タイルなので、濡れたものを置いても大丈夫ということで
置きたいと伺っていた観葉植物など鉢物への水遣りの際に、こぼれても具合がよいかなとも思い提案しました。

また寒冷地では、雪に濡れた手袋や靴をストーブの廻りで乾かしたり、暖める習慣があるのですが、ストーブのないこのお宅では床暖房の入ったこのタイル床が、手袋の一時仮置き場になっているとのこと、、
想定外の使われ方でした。
肝心の、コールドドラフト防止のほうも、効果が出ています。



冬もあるけど、夏もある日本。
開口部の扱いについては、地域に応じて研究の余地がありそうです。





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# by o-oik | 2017-04-13 12:58 | 住まいにまつわる私の考え

冬暖かい住まいは人を幸せにする5 -床を暖かくするには-

今日から4月、桜も開花したというのに、昨日、今日は寒の戻りで寒くなりましたね。
思わず背中にカイロを貼って出かけました…。

「冬暖かい住まいは人を幸せにする」まだ続いています!
今日は床を暖かくする方法についてです。

   *  *  *  

足下が冷えると、例え室温が一定のレベルに保たれていても「寒い」と感じることは、どなたも経験的に理解されている通りだと思います。冬暖かい家をつくるには、しっかり断熱して窓からの冷気も防いだあとに、床を何で仕上げるか?が大切になります。

この順番は大切。

「床暖房」を採用することで、断熱や開口部の仕様の低さを補う、熱がどんどん逃げてしまう状況で暖房器具に頼るのは、本来は優先順位が違っているということに、皆さんが気付いていく時代になったと感じます。断熱と開口部の仕様を上げることが先です。熱が逃げっぱなしで放置するのはモッタイナイです。まず、温熱環境のクオリティが下がってしまいモッタイナイ、更に余計なエネルギーコストを払い続けることになりモッタイナイ。

二重にモッタイナイ。


床の表面温度が低いまま、エアコンの設定温度を上げてしまうと、頭の方が熱くて足が冷たいという不快な状況に。
男性よりも、女性の方が足下の温度が下がると「寒い」と感じる傾向が強いとする研究結果も出ているようですが、断熱をしっかりして気密も確保することにより、室内の床と天井「上下の温度差」も小さくなりますので、有効に「冷え」を遠ざけることができる訳です。


さて、では床には何を使うのが良いのでしょうか?

床に使うフローリング材のなかでも、話をシンプルにするため、無垢材に絞ってお話すると、樹木は針葉樹と広葉樹に分かれ、ごくごく、大まかに表現すると、それぞれに以下のような特徴があります。

杉、桧、サワラなどの針葉樹     ・・・柔らかい(傷になりやすい)/暖かい 

ナラ、カバ、チェリー、栗などの広葉樹・・・硬い(傷になりにくい)/冷たい


針葉樹の中でも、無垢の杉材は特に空気を多く含み、足の裏がひんやりしない、というのはすでにご存知かもしれませんね。

ひんやりしない効果、どのくらいかと言うと、たとえば

杉の無垢床にした新しい家で生活を始めた建て主さんから「これまでは、冬は『床が冷たい』からお客さまにスリッパを出していたのに、今は必要が無いのでスリッパを出さなくなったんですよ」と報告を頂けたくらい。 希望の数のスリッパを収納できるよう、現場で収納を調整した家でしたが、、嬉しい誤算でした(笑)

ちなみに、同じ家の2階の床には同じく針葉樹の桧(ひのき)を貼りましたが、比較的密度が高く杉と比較するとヒンヤリ感があるようです。

床材の選定は、無垢のフローリングを貼ったショールームをご覧頂いたり、必ずカットサンプルが見て頂きながら説明をしています。

柔らかいので身体への負担も少なく、足の当りが暖かい。その反面、時間が経つと色が変わってゆき、傷が増えてゆく。そんなことも全て含めて時間が経過するにつれて出て来る「味」と受け止めることができるケースであれば、杉の無垢材は「冬暖かい家」の床材に適しているようです。


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杉の持つ素材としての暖かさに加えて、蓄熱効果も期待したいところ。
(ちなみに映っている椅子は、ki-to-teさんの「畳摺りスツール」文中のお宅とは別の家です…。)


またまた長くなる予感がするので、、今日はここまでに致します。
(床の話がつづきます。次回は広葉樹の床材と、床暖房のことも書きます!)





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# by o-oik | 2017-04-01 20:17 | 住まいにまつわる私の考え

圓通寺の庭で

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圓通寺の借景庭園。

京都市街を北に離れた岩倉、東を向いたまっすぐ先に比叡山の山陰が映ります。google Mapで確認すると、視界には入らないものの比叡山の背後には琵琶湖が広がっているのですね。
その広がりにも繋がる庭だからなのでしょうか、モヤモヤはどこまでもすーっと吸い取ってくれるような、清澄なお庭。

造る側の視点で読み解けば、建築と、ランドスケープを一つに繋げる意図は明快で

生け垣の水平や、柱と樹木により遠近感を失わせる効果、海から運んできた岩、苔の広がりもすべてがあるものを想起させるべく、ですが決して押し付けがましさはなく、涼しい様子で効果をあげていました。

樹木と岩、苔、光。
時折苔のうえに遊んではまたどこかへ飛んでいく鳥の姿とその鳴き声。
葉擦れの音。

おそらくは、常にフレッシュで、浅く聞こえがちな言葉ですが、環境全体が「Art」。

「京都は庭のレベルが高い」と、昔北海道で建築を教わった先生が力を込めて言っていた意味を改めて考えていました。

  *   *   *

東から朝日が縁に射しこむ時間帯。
新緑の黄緑色の眩しさが寝不足の目にじーんと染込みます。良い時間が過ごせました。


(あたらしく人が入ってくる度に繰り返されていた解説テープは写真には映りませんので(笑)ここではナカッタことにしましょう。)


この連休は、修了式のため出張、翌日は午前中だけでしたが、久しぶりに京都での静かな時間を持つことができました。
夕方からの修了展の撤収はお任せしてしまって、そのまま東京へ、、ごめんなさい。
新学期、また行きますのでよろしく、と心のなかで挨拶をし、京都を後にしました。


このところ長いブログが続いたので、今日はこのくらいで〜。


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# by o-oik | 2017-03-21 12:12 | 風景

冬暖かい住まいは人を幸せにする4 ー暖房エネルギーを減らすー



なんでもない一日を、大切にしようという思いが新たにされるような3月です。


建物から無駄に流れでているエネルギーを出来るだけ少なくして
太陽のエネルギーを享受する。
寒さに耐えることに費やされている人間のエネルギーを
良い方向に使えるよう、住まいを整える。

一人一人が幸福と感じる時間を増やす。

それは繋がっていることだろうと思っています。



間違いに気づいたら、変われば良いし
表面的に見えているコストを下げることを引き換えにした
冬寒く夏熱い家をこれからは選択しない。

長期的なエネルギーのランニングコストを含めて冷静に判断すれば
温熱性能に投資をするという選択が
住まいを持とうという人達にとって普通のことになる日は近い(はず)。

将来リフォームすることを考えても、
壁を剥がして断熱材を入れたり、サッシを付け替えるのはどうしてもハードルが高い。
優先順位を考えて、お施主さまに提案することや、住に関わる「仲間」にも認識を拡げることは私たちの仕事だなあと感じるところです。

エネルギーコストが上昇することはほぼ確実で
進む方向ははっきりしているので
あとはやるだけ、変わるまで続けるだけなのですよね。


*   *   *


床の話を書こうと思っていたのですが、、
前置きを書いているうち、そんなながれになったので
今回は寄り道してエネルギーの話を書きます。
ますますややこしくなってしまいますが、どうかご容赦を。。


住宅で使うエネルギー

換気
照明
冷房
暖房
家電など、その他のエネルギー

のうち、
「暖房エネルギー」の占める割合は大きく
建物の性能を上げたり、熱源機の種類を変えることで
減らしやすい部分といえます。

東埼玉の家は、「一次消費エネルギー計算」をして性能を確認しながら設計しました。その際の「判定プログラム」をみてみると

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右上のグラフの部分を拡大。

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赤   「暖房」
水色  「冷房
青   「換気」
黄緑  「給湯」
オレンジ「照明」
グレー 「その他のエネルギー」

関東の住宅で
主な開口部にはlow-Eペアガラスを入れ、庇のある設計ですが、実は飛び抜けて開口部の性能が良い訳ではないですし、もっと
高い数値を求めることもできたでしょうね…。ここでは太陽電池を乗せて消費エネルギー量を相殺することもしていません。
(ここでは、フラット35Sの省エネ等級5をクリアすることを目標にしました。)
平屋部分が多いので、開口部率が低く抑えられ、このプログラム上、良い数値になりました。
これは計算値で、実際に冷房に使うエネルギーの割合はもう少し増えるのではないかと思ってますし、
体感性能を上げる観点で、このプログラム上の数値とは別の検討が必要と私は思ってマス。


反省はさておき、、

それにしても、暖房エネルギーの割合とくらべると冷房はそれほどでもないんですよね。
基準値からして、この差はなんだろう、と。

熱源機の選択によって、大きく消費エネルギー量が変わるのですね。

たとえば、この家は、ヒートポンプ熱源の冷温水器を置いて、
冷温水を放熱器に循環させる方式の冷暖房を採用しているのですが

試しに、電気ヒーターを熱源に設定して計算すると、
がーんと数値がアップしてしまいます。
(暖房用熱源としては、電気ヒーターが最も消費エネルギーが多い。)



少々ややこしいですが、上の表について簡単に説明をしておきますと

住宅で使う電気、灯油、都市ガスなどのエネルギーを「二次エネルギー」と言って、このままだとkwとかリットルとか、MJとか単位がバラバラなので
化石燃料や、水力、太陽光、原子力、などの自然から得られるとする「一次エネルギー」に換算することで、単位を揃えて扱う判定プログラムです。
「建っている地域」「規模」「建物の性能」※や「使用する設備の概要」を入力すると消費エネルギー量を計算してくれます。

次にいきましょう…!

また、「建物の性能」と一口に表現していますが、

・外皮(屋根・壁・床)の面積と各部の仕上げ材を含んだ断熱性能。
・窓の向き、庇の出具合、夏と冬で日射をどのくらい受容・遮熱するか。
などを、細かく数字を入れ算出します…。ちなみに、2020年には住宅にもこの計算が義務付される見込みです。(国のロードマップによれば…)


ええと、グラフに戻ると

下の二つは、それぞれ「省エネ」「低炭素住宅」の基準値を示すので
この家の一次消費エネルギー量は、トータルでそれぞれの基準値をクリアしていますよ。ということが判ります。

それぞれの基準値について説明すると長くなるので割愛、ごめんなさい。(どちらも日本国内のこれまでの基準よりは高い。)


冬について言えば、


「エネルギー効率の良い熱源機を使えば」一次消費エネルギー量が下がる。


「外皮(屋根・壁・床・窓)から逃げる熱の量を減らせば」一次消費エネルギー量は下がる。
 
 
「窓から入ってくる太陽のエネルギーが増えれば」一次消費エネルギー量は下がる。



となります。
設備と、外皮の性能をセットで評価できる点が
優れた評価プログラムだと思います。


日本は、太陽のエネルギーに恵まれている地域で、北緯でいえば
東京はアルジェリアと同じくらい。
北海道でもイタリアのローマくらい。

透明なガラスが美しいモダニズム建築はフランスやドイツの辺りが発祥で
同じ北緯で東に辿って行くと、その先は樺太だったりするんですよね・・という訳で、安易にマネするのは危ない。


扱い方によっては危険なパワーを秘めている太陽のエネルギー。

夏もあることですので、庇を使い
季節によってコントロールしながら、冬の日射を上手く取り込みたいと考えています。

…つづく!


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# by o-oik | 2017-03-13 13:56 | 住まいにまつわる私の考え